【狩猟のリアルVol.6】
くくり罠猟は銃猟と比べ
比較的安全ですが、それでも例年
死亡事故が発生しています。
くくり罠猟にはどんな危険性があるのか?
これからくくり罠猟を始める初心者の方の
予備知識として、多くの事例を紹介します。
そして、現役猟師の立場から、
危険を回避する方法も提案します。
くくり罠の事故 事例その1 逆襲や突進
コレはくくり罠猟で
一番恐ろしい事故です。
鹿や猪が掛かった時、
ワイヤーでくくられているとは言え
狩猟者が角で突かれて死亡・・・。
牙で皮膚を裂かれ、失血死・・・。
等の事故があります。
大日本猟友会が発行する
【日猟会報】によると

イロイロな逆襲事例が書かれています。
一部ですが紹介します。
平成29.1.9. 8:30 愛媛県55歳 狩猟歴6年
くくり罠に掛かった猪の様子を見に行ったところ
ワイヤーが切れて逆襲され、同行者が負傷・・・。
平成27.10.30. 10:30 香川県71歳 狩猟歴5年
罠に掛かった猪の殺処分で近づいた際、ワイヤーを
切って襲撃され、20分ほど右半身を噛まれた。
追い払おうとした同行者にも襲いかかり負傷・・・。
平成27.11.26. 12:30 福岡県66歳 狩猟歴40年
止め刺しの為に罠に近づいたところ、ワイヤーを
切った猪に反撃され負傷・・・。
平成28.1.5. 7:30 静岡県62歳 狩猟歴3年
罠に掛かった猪の喉を切り、グッタリしたので
次に足を切断した所、突然向かってきて右大腿部
を負傷・・・。
平成28.2.10. 11:00 広島県67歳 狩猟歴15年
くくり罠に掛かった猪の止め刺しの際
ワイヤーを切って突進してきた猪の牙で
負傷・・・。
平成29.9.26. 7:30 熊本県69歳 狩猟歴44年
罠に掛かった猪を止め刺しする際、
ワイヤーを切って突進してきた猪に
逆襲されて負傷・・・。
平成29.9.26. 10:00 徳島県66歳 狩猟歴12年
くくり罠に掛かった鹿を止め刺ししようと
した際に、右手を後ろ足で蹴られて負傷・・・。
平成27.4.26. 10:00 山梨県69歳 狩猟歴49年
有害駆除中、鹿の止め刺し時に蹴られ、
左手を切傷。(親指の筋2本切断)
平成29.11.24. 10:00 鹿児島県80歳 狩猟歴52年
くくり罠に掛かった鹿の止め刺しの際に
角で2mほど飛ばされて負傷・・・。
くくり罠猟で一番多い事故は
獲物による逆襲
です。
特に、
イノシシは狂暴で要注意
です。
鹿のオスも角があり
向かって来るので
油断は禁物です!
あと、上記事例から分かるように
狩猟歴40年、44年、49年、52年とか
経験豊かな罠猟師もやられています。
経験があるからと慢心で油断すると
逆襲にあいます。
あっちは命がけで必死です。
どれ位必死なのか、
別の事例を紹介します。
平成28.9.24. 14:00 鳥取県58歳 狩猟歴10年
罠に掛かった猪を止め刺ししようとした際、
足首をちぎり、突進してきた猪が逆襲!
平成29.1.19. 10:30 宮崎県75歳 狩猟歴8年
罠の見回り中、掛かった猪が足首をちぎって
ワイヤーから抜け襲撃!
ワイヤーでくくっているから
逃げられないと考えるあなた、
まだまだ甘いです!
野生の獣は生きる為
たとえ足首をちぎってでも
生き延びようとします。
実際私もくくり罠を始めて
6年目くらいでそれを経験しました。
くくり罠が作動したのに
掛かっていなくて【空ハジキ】だ
と思ったら、血が付いていました。
そして近くにコレが落ちていました。

猪の爪だと思います。
野生動物は自分の足を
引きちぎってでも生きようとします。
罠に掛かっているからと
油断は禁物ですよ。
参考として
【Shaun&オトンとあれこれ】さんの動画より
実際の映像を紹介します。
この動画でもわかるように
ワイヤーでくくっていても
足をちぎる場合があります。
このことを頭に入れて、
安全な止め刺しをして下さい。
安全な止め刺しとは
●必ず獲物の上から近づく
●出来るだけ太い木の後ろにいる
●鼻くくりや足錠をしっかりする
●可能なら猟銃で仕留める
●万一に備えて二人以上で対応する
などが挙げられます。
また、止め刺しをせずに、
生け捕りをしようと、ロープ等で
足をくくる猟師がいます。
獲物の足をロープで縛った際に、油断して、
【蹴りが入る】
場合があります。
彼らの足は毎日山で鍛えた
強力な脚力があります。
特に鹿の後ろ足は
きれいなお姉さんのウエスト位あり、
メチャメチャ太いです。
このぶっとい後ろ足で蹴られると
マイク・タイソンのパンチ並み破壊力
があり、タダでは済みません。
コレを経験した凄腕猟師が
貴重な動画を上げてくれています。
コチラも紹介します。
鹿を縛って、寝転がせて、
前方に意識が行ってたら【蹴り】が!
凄腕猟師、【狩猟民族つうチャンネル】さんの
貴重な動画です。
鹿の後ろ足の蹴り。
強烈でしたね。
くくり罠初心者の皆さん!
こんな逆襲にも気を付けて下さい!
問題回避方法の提案
●獲物の状態をよく観察する
●獲物には上方からアプローチ
●可能なら大きな木の陰から対応
●鼻くくりを使う
●足錠を使う
●鉄砲猟師に止め刺ししてもらう
●大物の場合は二人以上で
●猪の突進と牙は特に注意!
●シカの角と後ろ脚キックに注意!
●止め刺しは心臓を突くか喉を切る
●止め刺ししても、3~4分は近寄らない!
くくり罠の事故 事例その2 滑落や転倒

山は刻々と変化しています。
雨の日、雪の日、霧の日など。
そんな時、多い事故が滑落や転倒で
強打して負傷や死亡する事例も。
平成28.3.4. 三重県77歳
狩猟仲間と山中で足を滑らせて滑落し、
樹木と激突、翌朝死亡・・・。
平成27.7.21. 13:00 高知県62歳 狩猟歴14年
罠を見回りに行く途中の丸太橋から転落し、
頭部を強打し、溺死・・・。
平成27.11.7. 10:00 高知県70歳 狩猟歴8年
罠猟師が帰宅しないので、家人の連絡で捜索中の
猟友が、仕掛けた罠の下、約5mに止め刺しした
鹿と共に転落しているのを発見。
平成30.2.10. 10:50 長野県68歳 狩猟歴30年
山中にて足を滑らせて滑落し、同日中に死亡。
平成30.2.11. 14:07 奈良県69歳 狩猟歴39年
積雪により川へ滑落し、倒れているところを
発見され、同日死亡確認。
滑落や転倒は比較的高齢の罠猟師に
多い死亡事例です。
高齢になると、足腰の筋力や視力も低下します。
経験は豊富でも、寄る年波には勝てません。
高齢の罠猟師が山に入る場合は
若い頃とは違い、足腰が弱っている
ことを自覚して慎重になりましょう。
問題回避方法の提案
●自分の体力を過信しない
●体力に見合った場所に罠を掛ける
●装備を充実させる。(眼鏡、スパイク付き長靴など)
●杖を持つ(安定性がアップし、疲労軽減)
●ホイッスルを持つ(居場所を知らせる)
●携帯を持つ(連絡できる)
くくり罠の事故 事例その3 ワイヤーの足払い

次に紹介するのは珍しい事例ですが
こういうこともあると知ってもらうため
紹介します。
平成28.2.6. 14:00 宮崎県70歳 狩猟歴25年
罠に掛かったイノシシを止め刺ししようと
近づいた際に、急突進してきたイノシシに
ワイヤーで足を払われ、急斜面を転落し、
立ち木で胸と腰を強打・・・。
くくり罠に掛かった獲物は動きまくります。
獲物と根付の間に立つと、獲物が走り回ると
ワイヤーで足を払われることがあります。
対策としては、
イノシシなんかが掛かると、暴れまくり
根付を中心に獲物が描く円内は
月面のクレーターのように掘られています。
あなたが獲物と対峙する際に、
獲物が生きている間は、根付を中心に
獲物が描く円内(クレーター内)には
決して入らない事。
足を払われて転ばされる可能性が
高くなります。
問題回避方法の提案
●ワイヤー円内(クレーター内)に絶対入らない
くくり罠の事故 事例その4 マダニによるSFTS
最近増えてきているのがコレ
マダニによるSFTS。
SFTSとは
【重症熱性血小板減少症候群】
の事です。
中国で2009年に発生が報告されました。
2011年に中国で命名された新規感染性疾患です。
日本では2013年に最初の患者が発生しました。
SFTSのウイルスを持つマダニに噛まれると感染します。
症状は発熱、消化器症状(食欲不振、嘔吐、下痢、腹痛など)、
頭痛、筋肉痛などの症状が現れます。
重症化すると死亡することもあります。
残念ながら、2025年7月現在、
有効な治療薬はありません。
日本では西日本を中心に広がっており
東日本にも拡大中です。
このSFTSによる死亡も報告されています。
以下がその事例です。
平成29.4.30. 8:30 山口県62歳 狩猟歴42年
マダニに噛まれ、SFTSに感染し、入院加療も及ばず死亡・・・。
平成28.7.24. 高知県69歳 狩猟歴49年
罠の見回り等でほぼ毎日出動していたところ
マダニに噛まれSFTSに感染。
マダニは2~3mm程度の小さな虫。
草の先などにいて、動物が来ると
体に移り、柔らかい所に噛みつきます。
くくり罠猟は毎日山に行くので
性別、年齢、狩猟経験にかかわらず
猟師には問題かも!
この問題を避けるには
長ズボン、長袖は必須。
靴下を履き、ズボンを履いて
ズボンのすそは長靴内に入れ
長靴上部はひもで縛る。
もしくはレッグカバーを付ける。
|
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服は出来るだけツルツル素材のものを着る。
もちろん手袋も必須です。
そして帰宅後は全部洗って、
お風呂に直行!
わきの下、陰部などは念入りに
チェックしましょう!
もし噛まれていたら
自分で取らずにお医者さんに取って
もらいましょう!
私の息子も10年ほど前に部活中に噛まれ、
お医者さんで取ってもらいました。
剣道部だったんですけどね・・・。
ナンデ??
と言うことで、
くくり罠猟師が陥る事故について
紹介しました。
問題回避方法の提案
●長袖、長ズボンは必須!
●ツルツルした長靴を履く
●アウトドアレッグカバーを付ける
●帰宅後、全ての服を洗濯する
●帰宅後、すぐにお風呂に入り体を洗う。
●マダニに噛まれたら、お医者さんに取ってもらう
くくり罠猟初心者の皆さんは
こういう危険な事例があることを
覚えて安全に猟を楽しんでください。
本日の授業はここまでです。
最後に本日の内容をまとめます。
本日のまとめ
くくり罠猟で発生する事故と回避方法を現役猟師が解説【初心者必見!】
くくり罠猟で遭遇する事故は主に4つ
●滑落や転倒
●獲物からの逆襲、突進
●ワイヤーによる足払い
●マダニによるSFTS
高齢者は滑落や転倒、
油断から逆襲や突進、ワイヤー足払い。
そして、服装の準備不足からマダニ。
経験を重ねても、いつも謙虚に!
準備は入念にしましょう!
毎日山に行く、くくり罠猟、
安全に注意して、狩猟を楽しみましょう!
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