【狩猟で獲った鹿や猪の解体豆知識その12】
猟師をやってて、鹿や猪を食べた事のない人
に出会うとよく聞かれるのがコレ!
「鹿や猪の肉ってカタくない?
ケモノ臭いんじゃないの?」
確かに硬いもの、血生臭いもの、
ケモノ臭いのもあるでしょう。
それは全て処理が悪いから。
なぜそうなるのか?
理由は血抜き処理や温度管理が
良くないから。
今回は捕獲した鹿や猪を美味しくする
処理の仕方を学びます。
血なま臭い理由 血抜き処理が不完全だから
鹿や猪などの肉をもらって料理したけど、
美味しくない、血なまぐさいというのは
血抜きがうまくいってない場合が多いです。
なぜか?
大体下の3つが原因です。
A.血抜きされずに死んだ肉
B.内出血を起こした部位だった
C.血抜きが不十分だった
等が考えられます。
詳しく解説します。
A.血抜きされずに死んだ肉
コレは道路で車にはねられた鹿とか猪。
「おお~、大きな鹿だ!
丸々太ってて美味そうな猪だ!
もったいないからもらっちゃお!」
と解体したはいいけれど、車にはねられた
モノなので、体の広範囲に内出血があります。
また既に死んでいると、心臓も動いておらず
心臓を刺しても、のどの頸動脈を切っても
体内から血が抜けません。
また死んで、すぐに内臓を摘出していないので
内臓は長い間、腐敗しやすい温度で放置され、
体温で肉がドンドン傷んでいます。
その上、内臓破裂等していたら、
内臓中の雑菌が腹中で繁殖し、
とても不衛生で、異臭も肉にこびりつきます。
膀胱や大腸、小腸なんかが傷つき
尿や便などの内容物が腹腔内で
出たりします。
そうすると、強烈なニオイとバイ菌が
腐敗しやすい温度なので、腹腔内で
ドンドン広がります。
そんな肉を解体して、精肉しても
【マズい肉確定】となるでしょう。
くくり罠猟をしていると
たまに獲物が他の動物に襲われて
既に死んでいる場合があります。
獲物が死んでる時、フツー罠猟師は
その獲物を解体せず、その場で
埋設処理します。
いつ死んだかわからない肉なんて
美味しくない、もっと言えば衛生的に
危険なのを猟師は知っているからです。
死肉と言えば、
映画【ウッドジョブ】で伊藤英明さんが
車を運転中死んだ鹿を見つけ、嬉々として
車に積み込むシーンがあります。
罠猟師の私からすると、
「おいおい、死んだ鹿、大丈夫?
おなか壊すよ??」
って心配になりますね。
この映画、面白いので、気になる方は
是非見てみて下さいね。
B.内出血を起こした部位だった
くくり罠をしていると
罠に掛かった獲物は何度も何度も
逃げようと一晩中暴れます。
結果、くくられた足は内出血を
起こしていることがほとんどです。
その肉は犬にあげるか、食べるなら
ニオイがナントカ誤魔化せるカレー
にする位しか使い道がありません。
罠猟師をやっていると、肉をタダで食いたいと、
「頂戴頂戴!」としつこく言ってくる輩が
少なからず現れます。
(こういう人、クレクレ星人って言います。)
一頭の成獣を捕獲した場合、
解体に3時間、精肉作業に7時間、
ざっと10時間かかります。
マジで一日仕事です。
しかも、ずっと立ちっぱなしで・・・。
それを、自然から得たモノ=無料
とでも勘違いしているのか、
気安く、頂戴頂戴とか言う人がいます。
そんな人にあげたくないので、出し渋ると
「自然からタダで手に入れたんやろ~!
ケチやな~、お前!!」とか言われます。
そして、そんな人に限って、猟師が10時間
かけて精肉にした肉を、無料でもらって、
注意事項も聞かずに、テキトーに調理します。
そして、次回あった時に感謝どころか、
被害者面して
「硬かった、臭かった!」とか
文句までいう人もいます。
ですから、そんなことに嫌気がさしてる
猟師は、今後、ずうずうしい輩には
わざと美味しくない肉をあげるケースも。
それが、こんな肉。
内出血している部位
です。
ずうずうしい輩には、そんな内出血した肉を
ワザとあてがって、もう二度と「頂戴」と
言われないようにするのでしょうね。
このやり方、結構
猟師あるある、
らしいです。
皆さんの知り合いの中にもいませんか?
自分の要らないものをあげる人。
猟師がそういう人だったか?
もしくはもらう人がクレクレ星人だったか
どちらかでしょうね。
幸い、私の友人知人は
そんな人は少ないので
助かってます♪
C.血抜きが不十分だった
くくり罠猟初心者にありがちですが
血抜きの工程がうまくいっていないケース。
血抜きに大切なポイントは3つ
一つ目は
止め刺しを出来るだけ苦しま様に、
迅速に、的確にする
ことです。
掛かった獲物を生きているうちに
止め刺しをします。

オススメはのどの頸動脈を切る方法。
こうすることで心臓がポンプとなり
体内の血液をドンドン排出してくれます。
2つ目は
出来るだけ早く木に吊るすこと。
後ろ足を上にして吊るします。そうすると、
引力でのど元から更に血を
抜くことが出来ます。

3つ目は、
止め刺しから30分以内に
腹を割って、内臓を摘出
する事。
狩猟は有害駆除は別にして、
通常は冬期に行われます。
30分以内に内臓を摘出する事で、
内臓の熱が肉に伝わらず、
腹腔内も冬の冷たい外気で急速冷蔵
出来ます。
このように、この3つの過程を
スムーズに行えないと血液が
肉の中に多く残留します。
肉内に血液が残ると
【血なまぐさい】肉と
なってしまいます。
だから、
止め刺し~吊るし~ハラ抜き
の過程は30分以内でスピード感を持って
やる必要があります。
この過程で肉の旨さが
ある程度決まってしまいます。
ここまでで血抜きの大切さが
お判りいただけたでしょうか?
ただ、ここまでやっても
次の温度管理がマズいと
全てが台無しになることもあります。
ケモノ臭い理由 温度管理がNGだから
鹿や猪の肉を調理した人なら
判ってもらえますが、
これらの肉は解凍すると足が速いです。
【足が速い】
すなわち、
腐敗するのが速い
です。
野外で解体し
クーラーボックスで持ち帰り
自宅で精肉作業(トリミング)*をします。
*トリミングとは肉から筋膜や筋を除去する工程。

精肉に手間取っていると
肉の端の方から時間の経過とともに
茶色に変色します。
そしてこの部分から、ケモノ臭が
少しづつ立ち上ってきます。
そうなると、調理しても美味しくないので
変色部分はドンドンカットして捨てます。
この肉の変色、結構なスピードで
なるんです。
牛や豚では経験したことないくらい
速いです。
だから
鹿や猪肉は最新の注意を払い
とにかく冷蔵する事。
精肉作業も、1切れ、2切れ程度づつ
やっていきます。
部屋も寒くても暖房入れません。
そして、
精肉作業が終わったら
速やかに冷凍
します。

こうすることで鹿猪肉を
長期保存出来ます。
これ位、気を使っています。
だから、温度管理が大事なのです。
調理時も出来るなら半解凍の状態で
肉を切るのが一番いいです。

上の写真では真ん中の多くの面積は
まだ凍ってます。
でも上部のテカっている部分は解凍済みです。
私の止め刺し方法、【のど切り】

心臓の場合は決定的な致命傷を
与え、確実に仕留められます。
のど切りの場合も確実に仕留められますが
心臓はまだ動いているので、心臓がまるで
血をドンドン排出するポンプ代わりとなります。
まず刃先が地面に到達するまで刺し、
次に首の骨に当たる迄、ザックリ切ると
頸動脈から血が素早く抜けます。
結果的に、獲物の苦しむ時間が
とても短くなります。
私は腐敗の原因である血が肉に残らないよう
血をドンドン排出する【のど切り】の方を
採用しています。
但し、一つ注意が必要です。
切りが甘いと、血がなかなか抜けず、
鹿がムクッと身を起こす事さえあります。
必ず地面まで刺した後、首の骨迄刃先を進め
左右両方の頸動脈を完全に切断して下さい。
中途半端が一番獲物を苦しめます。
迅速に的確に止め刺ししましょう!
本日の授業は以上です。
最後に今日の学びをまとめます。
今日のまとめ
鹿猪の肉が血なま臭い!ケモノ臭いは血抜きと温度管理が原因だッ!
血なまぐさい肉とは
●血抜きされず死んだ鹿や猪の肉
●内出血した部位
●血抜きをしっかりしていない肉
血なま臭くしない肉処理方法は
止め刺し~吊るし~内臓出し
迄を30分以内で行う。
ケモノ臭を避けるには
●温度管理が大切。
●精肉作業時、傷んだ所は除去
●作業完了後、すぐに冷蔵か冷凍する

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