くくり罠の捕獲率アップする秘訣【その11】
初心者は罠設置時、罠を土で埋設し、近くの葉っぱを
罠上部にまいて終わりッ!
凄腕罠猟師はあるひと手間加え、空ハジキを減らし、
捕獲率をグッとあげます!
その違いとは?
そこで、今日の授業では、
●年間200頭以上獲る凄腕猟師
●害獣駆除のプロ集団
から学んだ、
空ハジキを減らし、捕獲率をアップする方法
を紹介します。
この授業で学んだことを実践すれば、
くくり罠の見回り時、きっとこんな光景が目に飛び込んできますよ♪

年間200頭以上獲る凄腕猟師の方法
それは、近くにある苔(コケ)を使う方法です。
苔は長い月日がかかって生じます。
ということは、その下には罠はない。
しかもフカフカして、自分の足裏を傷つける心配もない。
そんな理由からか、シカやイノシシも警戒しません。
これらのことを熟知している凄腕猟師は
罠の埋設時に、苔を活用します。
ここからは【狩猟民族つうちゃんねる】の凄腕猟師つうさんに
解説してもらいます。
つうさんは猟期だけで140頭以上。
有害駆除も入れると年間200頭以上獲る凄腕猟師です。
下の動画を3-4分だけご覧ください。
つうさんも動画の中で言及していますが、
重要なのは、罠の周りや真ん中だけに苔を置きましょう。
ワイヤー上部には苔を絶対置かない事!
くくり罠が作動した時、ワイヤーが苔を沢山くくってしまい、
せっかく捕獲した獲物の足が苔で滑って抜けてしまう
可能性があるからです。
私も苔が周りにある時はこの手法を使います。
確かにとても自然で、いい感じです。
オススメですよ!
次は、害獣駆除やくくり罠猟師に対してセミナーを行っている
プロ集団から学んだ手法を紹介します。
害獣駆除のプロ集団の罠設置方法
くくり罠猟を始めて2年目。
県のサイトでくくり罠の技術向上を図る為、無料で現地指導してもらえる事を知った。
早速申し込み、害獣駆除のプロ集団から、罠設置のノウハウを学び、
罠の作り方も指導して頂いた。
そして秀逸なのが、実際に私が現地で罠を設置するところを見てもらい、
どこが良くて、どこを改善したらいいのか直接指導してもらう機会があった。
しかも現地指導は3回という厚遇。
M先生に2回、S先生に1回直接指導を受けた。
彼らから学んだことは、4点。
1.枯葉をそのまま罠の上に置かない
2.出来るだけサラサラの砂を置く
3.罠周辺は違和感ないように平らにする
4.ケモノ道を掃き清める
具体的に見て行きます。
1.枯葉をそのまま罠の上に置かない
ベストは、カラカラに乾燥した枯葉をパラパラに砕いて置く。
こんな感じです。

多くのくくり罠師は罠設置の近くにある枯葉をそのまま置く。
あるいは、もっと手が込んだ人になると、枯葉のある場所に
下にからスコップでゴソッと差し入れ、30センチのフライパン位の
面積の枯葉を取り、そのまま罠の上に置くという手法をとっている。
↓こんな感じで。

ただ、私が受けた指導で、このやり方だと、くくり罠が作動した時に
大量の枯葉や小枝なども一緒に巻き込んでまるで【潤滑剤】のようになり
獲物が逃げようと引っ張ると抜けてしまい、取り逃がす事がある。
コレをくくり罠の専門用語で【空ハジキ】と言います。
罠は作動したけど、獲物が獲れない事を言います。
実際に、罠の上に枯葉を置いて、罠を作動させるとこのようになる。

獲物の足を直接くくっておらず、ワイヤーと獲物の足の間に
多くの枯葉と小枝が挟まります。
するとどうなるかと言うと、
スキマが出来て獲物が逃げようと
走った瞬間にスッポ抜ける事があります。
実際私も今まで多くのシカやイノシシを捕獲してきたが、
足首だけでなく、爪先にかかっていたこともある。
足首の場合は可能性は低いだろうが、
爪先だった場合、多くの枯葉と小枝が間に入ってたら、
きっと捕獲に至っていなかったことだろう。
野生動物というのは、とにかくタフで、彼らは必死に生きている。
狩猟の本や動画を見ていても、獲物の中には自分の足を引きちぎってでも
逃げる猛者がいるという。
私の経験でも、猟師になって8年目の冬、
実際に爪先を引きちぎって逃げたヤツがいた。
その証拠写真がコチラ

現場には獲物が暴れた後がハッキリとあり、
くくり罠の先にはコレがしっかりとくくられていた。
爪も結構大きいので大きなイノシシだったのではと想像する。
実際の他の猟師の方も同じような経験をしています。
【晴れのち山ライフ】さんのコチラの動画で、
そのリアルな現場を紹介しています。
コチラはもっとすごいですよね。
爪どころか、自分の足をブッチ切って逃走しています。
野生動物って本当にスゴイんです。
もう一つ、衝撃的な動画も紹介します。
コチラは見回りに行って、実際にワイヤーを切って
突撃して来る貴重なシーンが撮られています。
狩猟にはこう言った危険な事もあるんです。
罠にかかっても、根性のあるやつはここまでします。
まあ、こんなガッツのあるヤツはどうしようもないですが、
ツメの上にかかったとしても、枯葉を巻き込んでいなくて
直接くくっている状態なら、ツメの上でも捕獲出来ます。
このことから、罠の上には枯葉や小枝をそのまま置かない方がいいです。
爪先でも大抵の獲物はそれで捕獲出来ます。
でも枯葉を巻き込んだ場合、爪先しかくくれなかった場合は
枯葉が潤滑剤となってしまい、爪の上を滑ってしまい、
まず獲れません。
確率は低いかもしれないが、あなたの仕掛けた罠を踏んだ獲物を
確実に獲りたいなら、そのままの枯葉を置かない方がいい。
少しでも獲物を取り逃がす可能性があるものは
シラミ潰し的に排除していく事が大事です。
ここで一つの疑問が生じる事でしょう。
では罠を設置したら、罠を土で覆い、その上には何を置くのか?
枯葉は一枚も置かないのか??
上述で説明したように、近くに苔があるなら苔でカモフラージュ。
ない場合は、枯葉を置きます。
但し、
カラカラに乾燥した葉っぱを出来るだけ砕いて置く。
私に指導して下さったS先生は
【魔法のふりかけ】
と呼んでいた。
猟期は冬季。枯葉は乾燥している。
コレを手に取り、罠の上でバラバラに砕き、自然な雰囲気にする。
↓こんな感じで。

2.出来るだけサラサラの砂を置く
くくり罠が正常に作動するように砂にもこだわる。
すなわち、
出来るだけサラサラの砂を使おう!
特にくくり罠の埋設で、横引きと縦引きというのがありますが、
横引きは、くくり罠のバネ収納部分を地面と平行にして
浅く溝を掘って埋設する方法。横に置くことから横引きと呼んでいる。
除去できない太い根っこや大きな石がある場合、横引きにします。
優位点(メリット)は短時間でカンタンに設置できる事。
欠点(デメリット)は罠作動時にくくる位置は縦引きに比べて低めになるのと
バネ収納部分が地表近くにあるので嗅覚の鋭いイノシシはワイヤーやバネ
プラスチックのケミカルなニオイを嗅ぎ取られる可能性があります。
縦引きは罠のバネ収納部分を罠のすぐ横に、ほぼ垂直な穴をあけ
その穴にバネ収納部分を挿入して、罠作動時にくくり部分が上に
飛び上がる様に設置する手法。
ほぼ垂直な穴を罠近くに開けられる場合はこの縦引きがベスト。
私は罠の埋設時、ほぼこれを採用しています。
優位点(メリット)は罠作動時にくくり罠が上に発射されて、
高い位置でくくる可能性が高いこと。
そして、30センチ程度の穴に埋めているので、
ワイヤー、バネ、プラスチックのニオイが嗅ぎ取られにくい事。
欠点(デメリット)は太い根っこや大きな石が埋まっていると
埋設出来ない事、穴をあけるのが面倒なのと、時間がかかる事と
穴をあける杭やトンカチも必要になります。
(私はそこらの石を使ってますが・・・。)
横引き、縦引き、どの手法でも、くくり部分が飛びあがって
獲物の足をくくるわけですが、この時少しでもワイヤーが
何の抵抗も受けずに打ち上がるのが理想。
そのために、罠に巻き付けたワイヤー上部の砂は
出来るだけ抵抗がないサラサラの砂がいい
です。
煎餅のように固まった土だと、ワイヤーが持ち上がりにくいし
粘土のような土だと、作動さえしない場合もある。
その点、抵抗の少ない砂だとベストだというわけです。
そして、3つめに学んだのがコレ
3.罠周辺は違和感ないように平らにする
くくり罠が上手に埋設されてないと、妙に凸凹してしまいます。
シカやイノシシも、
「なんかココ、凸凹してて、ヤバいんじゃね??」
と察知します。
このことから、罠の上に設置する土は周りの地面と
違和感ないよう平らにしておきましょう!
これも小さな事ですが、
察知されるリスクはシラミ潰ししていきましょう!
私も今まで9年くくり罠猟をやってきて、
自分で罠を掛けて、完成後、後片付けしてから、仕上げに
またぎの枝や石を拾い集め、誘引餌を用意し、ふと振り返ると
「アレ? 罠仕掛けた場所どこやったっけ??」
となる事が多いです。
自分で罠を埋設しておいて
「いくら何でも、そんな訳ないだろう〜」
と思われるかもしれませんが、
細部までトコトン気を使って、上手に埋設すると
多くのくくり罠師同様、あなたもそうなってきますよ。
ある意味、そうなってきたら、上達した証拠です!
捕獲率がグッと上がります♪
そして最後のひとつがコレ
4.ケモノ道を掃き清めよ!
害獣駆除のプロ集団から教えてもらったコツの最後は、
自分の罠の入りと出のケモノ道を掃き清める
です。
距離は片方2~3mづつでいいです。
獲物に対してキミたちはいつもココを通っているんだよと
分かるようにしておきます。
そうするとそこを歩く可能性が上がるそうです。
実際、伝説の凄腕くくり罠猟師の片桐さんもそれをやっています。
実際の動画はコチラ
初心者の方には片桐さんは一体何をしているのって感じですが、
片桐さんがこの動画の中でやっている事をカンタンに解説すると、
(赤字は今回学んでいる事項です。)
A.罠とは別の場所から細かな砂を取り、罠の上に置く
B.罠をうまく踏むよう、歩幅調整用またぎ棒を2本配置
C.獲物が踏みたがらない石一個を水たまり附近に配置
D.罠周りを平らに整地
E.枝を2本追加配置
F. 枝、葉っぱなどを除去し、ケモノ道を掃き清める
G.おまけで大きめの石を配置
H.より慎重に罠上に細かなサラサラ土を追加
I.罠の左側に小枝をバサッと追加
J.「また、お願いしま〜す!」とご挨拶
という順序でやっています。
これだけの事を片桐さんはたった2分でやっています。
どれも細かな事ばかりですが、
2024年12月現在、くくり罠猟9年目の私が見てて思うのは
片桐さんは流れるように罠を設置していて、
その手際の良さは惚れ惚れします。
流石、【伝説のくくり罠猟師】だなと感じます。
初心者の皆さんから見ると、全て細かいことかもしれません。
しかし、沢山捕獲する人に共通するのは、
細やかな気配りです。
くくり罠はこんな風にあらゆるところに
気配りしていくことが重要です。
特にイノシシはニンゲンの8000倍の嗅覚を持っています。
手を抜かず、あらゆる事に注意を払いましょう!
尚、片桐さんのこの動画は本当に参考になるので、
繰り返し視聴して【伝説のくくり罠猟師の技】を盗んで下さいね。
今回のくくりカレッジの授業はここまで。
最後に授業内容をまとめます。
本日のまとめ
空ハジキを減らし、捕獲率をアップする秘訣その11
●年間200頭以上獲る凄腕猟師の場合
≫ ワイヤー部分の外側と内側に分けて苔を配置
●害獣駆除プロ集団から伝授された方法
≫ 枯葉を砕いて【魔法のふりかけ】を振る
≫ 可能ならサラサラの砂を用いる
≫ 罠周辺は違和感がないように平らにしておく
≫ 罠の入りと出のケモノ道は掃き清める
くくり罠設置時、これらを取り入れてみて下さい。
きっと獲物がかかりますよ♪

次回の授業は、
私のうっかりミスから捕獲に至らなかった事例を学びます。
まあ、いわゆる【失敗学】ってやつですね。
テストの後は、見直しが大事。
仕事は段取りが大事。
そして、くくり罠猟では作動確認が大事なんです!
私はコレを怠って、何頭取り逃がした事か・・・(泣)
私の5つの失敗事例を紹介して、どんなことに注意したらいいのか
具体的に学びます。

捕獲率を上げる秘訣は沢山あります。
くくりカレッジではそんな秘訣をここに全てまとめました。
●捕獲研究科・秘訣コース
捕獲率を上げる秘訣を学んでシカやイノシシをゲットしよう!

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