くくり罠猟の捕獲率アップの秘訣【その15】
オススメのバネ(スプリング)と特徴や注意点など
くくり罠でシカやイノシシを獲る為に、大切なのがバネ(スプリング)の性能。
このバネの品質がくくり罠の性能、耐久性、そして捕獲率を左右します。
実際私が初心者の頃、バネ性能が良くなくて、空ハジキが頻発。
今回の授業では初心者の皆さんも同じ悔しい思いをしないように、
バネについて説明します。
バネはくくり罠の命。しっかり学びましょう!
最後に私が実際に使っているオススメのバネメーカーも
コッソリ皆さんに紹介しますよ。

くくり罠のバネ性能について
くくり罠のバネは
①バネの材質
②バネの外径
③バネの線径
④バネの全長
⑤バネの全圧縮長
⑥バネの最大荷重
でいろんな種類があります。
どこがどう違うのか、一つづつ見て行きましょう。
①バネの材質について
くくり罠に使うバネの材質は一択で【ステンレス】のみです。
くくり罠は設置時、地中や、水中に埋設されます。
このような過酷な状況でずっと縮こまった状態でいて
罠が踏まれた時、素早く伸長して獲物の足をくくる助け
をするのがこのバネの役割です。
ですから、
サビたり、固着しない材質が必要なので、ステンレスが最適
です。
②バネの外径

バネ外径12mm、15mm、18mmの3種類です。
私は外径12mmのバネを愛用しています。
(【狩猟民族つうちゃんねる】のつうさんは18mmのバネを愛用)
外径が小さいバネの線径は細めが多いです。
外径が大きいバネの線径は太めが多いです。
外径については、ばねを収納する塩ビパイプの内径
によって選びます。
くくり罠で使用される塩ビパイプの内径は主に3種類。
内径が13mm、16mm、20mmの3種類です。
ちなみに私は塩ビパイプの内径16mmを愛用しています。
例えば内径16mmの塩ビパイプなら使えるバネは
外径12mmか15mmのどちらかになります。
外径18mmのばねは内径13mmや16mmの塩ビパイプに
入らない為、使えません。
どのバネを使うかは、くくり罠猟師の好みですが
罠のバネ部分を縦引き*で埋設する時、細いか短いほど
埋設は土中の石や根っこ等の障害物を避けられるので
埋設が容易になります。
*縦引き
塩ビパイプの筒部分を垂直に埋設して射出角度を上方に向けて
発射するのでくくり位置が高くなり、捕獲率が上がる埋設方法。
ちなみに、バネの種類で言うと、外径12mmや15mmが
一般的です。
外径15mmは種類が比較的豊富です。
ただ、外径18mmのバネは全圧縮長が短めなので
縦引きの際に、縦穴が短くて済みます。
なので、今度18mmのバネで罠を作る予定です。
(【狩猟民族つうちゃんねる】のつうさんの真似であることは秘密です♪)
③バネの線径
線径と言うのは、バネを作っている針金の直径の事ですね。
大体1.40mm~1.80mmが一般的です。
太い線径ほど、荷重が大きくなる傾向にあります。
④バネの全長
この全長ですが、スプリングを縮めていない時の長さです。
くくり罠を自作する時、この長さが大切になってきます。
詳しくは下記の全圧縮長の項目で説明します。
⑤バネの全圧縮長
全圧縮長とは、バネを一番短く縮めた時の長さです。
例えば、バネの全長が1100mmで全圧縮長が200mmの場合、
1100-200=900
と言う事はこのバネの中にワイヤーを通せば
計算上は900mmワイヤーの輪っかを0mmに縮める
事が出来ます。
また、このワイヤーは小さくすると200mmと言う事は
塩ビパイプ200mmの中に1100mmもの長さのバネが
圧縮すればスッポリと収納出来るという事です♪
但し、注意しないといけないのは、2点。
1点目。
罠の周りにワイヤーを巻くのでその長さを
計算に入れる必要がある事。
2点目
バネが獲物の足をガッチリ押さえ続けられるよう
少なくとも150~200mm差し引いて計算する必要があります。

バネの全長が1100mmで全圧縮長が200mmの場合で例を挙げると、
全長1100-全圧縮長さ200=900 — C
A.罠の周りにセットするワイヤー ≫ 400mm
B.バネの押さえる力として ≫ 200mm
Cのバネは900mmの可動域があるので
900-Aの400-Bの200=300となり、このバネを使えば
十分罠が作成できることになります。
20cmの塩ビパイプに収納出来てコンパクト♪
しかも全周40センチの罠にセットしてもまだ50センチ
伸びる力があるので、獲物の足はガッチリ捕らえることが
出来ますね。
大切なのは必ず、
可動域 > A+B
(この例だと、900mm > 400mm + 200mm)
とする必要があります。
全圧縮長が短いほど、スプリングを収納するパイプは
短くていいので、縦引きでも埋設がラクチンになります。
長いほど、埋設は困難になりますので、全圧縮長も
良く考慮する必要があります。
⑥バネの最大荷重について
最大荷重と言うのはバネが縮小状態から伸長状態に
なる時にどれくらい荷重をかけられるか?
荷重はスプリングの線径や全長によって変わってきます。
荷重が小さいものは10kgほど
荷重が大きいものは26kgのものもあります。
ココで、単純に
「荷重が大きい方が獲物が逃げられないからいいね!」
と考えない事。
何故なら、
この荷重で注意しないといけないのが
くくり罠猟師の力
だからです。
例えば荷重が10kgのバネなら罠を設置する時、ワイヤーの端を
樹などに固定した後、罠本体にワイヤーをひっかけて、グーと
引っ張って塩ビパイプにバネを入れていきます。
コトバだと判りずらいので、動画で見ましょう!
こんな作業が必要です。(くくり罠はRedHat社 神の板)
動画内で力を込めて、バネを縮めていましたが、
この時バネの最大荷重が10kgなら縮める力は10kgでOK!
でも荷重26kgのバネの場合、非力な猟師だったら、バネを
縮めること自体が困難、又は不可能となります
また、バネの中にはワイヤーが通っており、その上塩ビパイプにも
収納せねばならず、場合によっては泥や土も付いています。
これらワイヤー、塩ビパイプ、泥と土などで更に抵抗が増します。
このことから、
自分の体力とも相談してバネの荷重を選びましょう。
バネの耐久性について
バネは残念ながら消耗品です。
いつか交換が必要になってきます。
交換するのは主に2つの原因です。
バネ交換原因1.バネが破壊された時
シカやイノシシがかかって、バネが変形した、
もしくはワイヤーやバネ同士がこんがらがって修復不可能・・・。
特に成獣のイノシシがかかると、高確率で
ほぼダメです・・・(泣)
とは言え、極上の天然の美味い肉が手に入るので
バネやワイヤーがダメになっても余りあるくらい
美味しいご馳走に山盛りありつけるんですけどね♪
バネ交換原因2.バネが経年劣化した時
長く使っているとバネはだんだんヘタって来ます。
全長1100mm
全圧縮長200mm
計算上は1100ー200=900mmの差異(可動域)があります。
ですが、それが経年劣化で800mm、750mmと低下。
結果として、こんな風になります。
「今まで使えたけど、なんか最近くくりの輪っかが
大きい気がする・・・。」
「くくってはいるけど、ワイヤーが足を押さえる力が
弱くなっている・・・。」
「あっちもこっちもバネが変形してパイプに入れにくい・・・」
こういう状況になったら交換しないと、故障や不発の原因となり、
せっかくの獲物に逃げられます。
罠は毎回設置後、必ず作動させて、くくった後のバネの
押さえる力が弱っていないか確認しましょう!
オススメのバネ どのメーカーがいいのか?
くくり罠猟を9年やってきて、何社かのバネを、
使いました。
そして行き着いたのが、
狩猟期間だけで140頭以上!
有害駆除も入れたら年間200頭獲る凄腕猟師
【狩猟民族つうちゃんねる】のつうさんが
オススメのバネメーカー。
使ってみると、確かにこのバネはいい感じ♪
その会社名は、
【カマダスプリング】
です。
調べると、品質も確かな会社で、
ISO9001 : 品質マネジメントシステム
ISO13485 : 医療機器の品質マネジメントシステム
も取得してる日本のスプリングメーカーです。
2024年現在で66年の経験と技術があるそうで、
このバネが良いと言う噂が噂を呼んで注文が増えたのでしょう。
くくり罠専用のサイトも作っちゃいました。
https://shop.kamada-spring.com/
この会社のバネ、確かに経年劣化によるヘタリも少ないですし
バネ由来の失敗もグッと減りました・・・。
鎌田スプリング、オススメです!
ちなみに、カタログにもこんな風に書かれています。

職人気質が造る! くくり罠用のばね
「とる!」
ですからね。
初心者時代は罠を全て購入して始める方も多いでしょうが
数年経つと、ワイヤーやバネ部分等の罠は自分で作る方が大半です。
何故なら、罠の一部が壊れて使えなくなると、
「このパーツだけ交換したら使えるのにな~」
となるからです。
私は工作が好きなので、初年度から自作してました。
また、やっているといろんな傾向が見えてきます。
例えば、
大型イノシシが多いから、もっと頑丈なバネが必須!
力が弱いのでバネ荷重はもう少し弱い方がいいな・・・。
この地域は土の中に石が多いから、パイプを短くしたい・・・
などなど、改良や修正したくなってきます。
また自分のアイデアも加味して、カスタマイズしたりして♪
こだわると、イロイロ手を加えたくなるんですよね。
かく言う私もそうです(笑)
自分でケモノ道を見定め、自分で罠を作り
それでシカやイノシシを獲る!
コレが出来るとくくり罠猟がドンドン楽しくなるんです!
そして、山に見回りに行って、実際こんな光景を見ると、

まさに、
「よっしゃー!やったぜッ!!!」
って感じです。
是非皆さんも鎌田スプリングのバネで
くくり罠自作に挑戦してみて下さいね。
オススメです!
プラモデルを組み立てるのと似た感覚で
結構面白いですよ~♪
本日の授業はここまでです。
最後に今日の授業内容をまとめます。
本日のまとめ
バネはくくり罠の命、このバネを使え!捕獲率アップの秘訣【その15】
くくり罠のバネには
素材 ≫ ステンレスの一択
外径 ≫ バネの円部分の外径
線径 ≫ 針金の太さ
全長 ≫ バネを置いた状態の長さ
全圧縮長 ≫ 一番短く縮めた時の長さ
最大荷重 ≫ バネが掛けられる最大荷重
等がある。
【注意点】
●パイプの太さから挿入できるバネ外径が決まる
●全圧縮長でパイプの長さを決める
●バネ全長-全圧縮長がバネの可動域になる
●くくり罠にワイヤーを回す長さ ≫ A
●獲物の足に圧をかけるバネ長さ ≫ B
●可動域 > A+B となる必要がある。
●最大荷重はくくり罠師の体力を考慮し決定。
くくりカレッジ校長オススメのバネ
≫ 鎌田スプリング
くくり罠を自作してシカやイノシシをゲットしよう♪
次回は今まで学んだことの総まとめ
初心者がシカやイノシシを獲る為にココを押さえたら
獲れるようになるというチェックシートを作りました。
この項目を漏れなく押さえたら、獲物を獲れるようになります。

捕獲率を上げる秘訣は沢山あります。
くくりカレッジではそんな秘訣をここに全てまとめました。
●捕獲研究科・秘訣コース
捕獲率を上げる秘訣を学んでシカやイノシシをゲットしよう!

コメント